とある神官の話



 どことなく雰囲気は、あのヨウカハイネンに似ている。とはいっても兄弟ではない。そのはっとする美貌は、ヨウカハイネン同様にヴァンパイアだからだろう。……羨ましい限りだ。


 その人は"私"を養子とした人。地方の神官であり、"私"をくれた人。



 セラヴォルグ・フィンデル。



 ヴァンパイアは、風習なのか名前がやたら長かったり難しかったりする。その代表がハイネンだろう。
 どういう理由からなのかわからない。だが彼は私の名前である"シエナ"とは別に、名前をくれたのだ。私が私でいられるように。

 セラヴォルグ・フィンデルの娘だという証に、彼は"シエナ"という名前を活かした名前――――"シュエルリエナ"という名前をくれた。



 ―――いいか、シュエルリエナ。この名前は君だけのものだ。君が私の娘だといつでも思い出せるように、君にあげよう。でも、この名はそう簡単に、他人には教えてはならない。



 それ故に私のフルネームはシエナ・フィンデルなのだ。今思うと"シュエルリエナ・フィンデル"なら、何だか名前負けしている気がする。
 




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