とある神官の話
埃っぽい部屋を掃除し、あまり出掛けたくないが……と私は外を眺める。
雪は降っていない。行くなら早い方がいい。
いろんなことを教え、与えてくれ、遺してくれた人。私の、大切な人。もし、生きていたなら、私はどんなに力強かっただろう。血の繋がりはなくても、確かにセラヴォルグは父だった。私の、大切な―――。
うっかり思い出して、泣きそうになる。馬鹿。父が亡くなって何年もたっているのに。本当に涙もろい。最近はとくにそうだ。
首に、ノーリッシュブルグでゼノンから貰った"雪の思い出"が光る。実はいうと、結構気に入っているのだ。
ただ、つけているのを見られたら質問されそうだ。誰から貰ったのか?と。
年が明ける前に、一度顔を見せよう。上着を着て、ほっと息を吐く。
「さて、と」
私は寒いだろうと肩を竦めながら、外へと出ていく。
* * *