とある神官の話
その過去を―――――キースは知った。友人であるゼノンが追い掛けているシエナの過去。それは、軽々しく口に出来ないものだ。
「本人が一番わかっているだろうな」
手をとめ、キースは思い出していた。
つい先日、ゼノン達に見せたジャナヤの写真。あれは比較的新しいものだ。
いつの時代も人は、力を追い掛ける。悪魔に魂を明け渡してもなお、力を。その結果が、地獄を生み出すとしても。
その犠牲者は、たくさんいたのだ。
「――――昔、彼女の過去を知るハゲが、今でも思い出せる」
「?」
「お前のような者が、うろついているとはな―――だなんて言いやがった」
「それは」
誰が、と聞いたキースに「後に潰した」と返したアゼル。キースは思わず背筋が凍るような心地を覚えた。敵にまわすことなかれ。
強い女性の代表、といったような実力者でもあるアゼルだが、キースはわかっていた。
彼女は努力家だ。自分よりも何倍も枢機卿に合っている気がしてならなくなる。
強い、とアゼルにたいしてまわりは言うだろう。だが、その横顔に陰るのは、どうにかしたいとキースは思う。