とある神官の話



「私はシエナが好きだし、味方でいたい。だから、生半可な気持ちで近寄るなら、あいつでも潰す」




 あいつが誰を指すのか、キースはすぐにわかった。
 ぐしゃり、と不要になった紙を丸める。


「あいつは、生半可で動いていないさ」

「……」



 アゼルが顔をあげ、鋭くキースを見遣る。キースはといえば、何故か真面目な顔のゼノンではなく、にやついた彼を思い出し、自然と笑みがこぼれた。

 そうだ。あいつは変人だが、本気なのだろう。今まで見たことがない。
 キースは眉をひそめたアゼルに口を開く。




「でも、ヤツは知らないだろう」

「例え知ってもあいつは、ゼノンなら変わらないと思う」




 ―――彼女の何処がいいんだ?
 ―――全てですよ
 ―――馬鹿かお前は
 ―――馬鹿です。誰だって何かしら問題はありますよ。でも、それを知って嫌いになるなら、始めから好きになどならないと思いますが。人は問題の塊ですよ?




 確かに、そうだ。問題を抱えていない者はいないだろう。友人として、己は何ができるか「キース」
 何だ、と顔をあげて、固まる。そこにはアゼルの顔があったからだ。




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