とある神官の話


 密かに想う相手が間近に迫ったら、誰だって固まる。ミスラが「初だな」と笑う姿がちらついたが、もうどうでもいい。キースは「あ、の」と言葉か出ない。



「今日飲みに行くぞ。勿論お前のおごりで」



 そんな勝手に。

 だが、まあいいか、とキースは己を納得させる。デートには中々誘えないが、飲みに行くなら。
 早く終わらせるぞ、と意気込むアゼルに、わずかに笑みを浮かべたキースは「ああ」と頷いて見せた。





  * * *





 昨夜未明、見回りの衛兵が身元不明の少女を発見した。覚束ない足取りだったその少女は、酷く怪我をしていた。

 その衛兵が、一つ、その少女について発見したのは――――――。




< 352 / 796 >

この作品をシェア

pagetop