とある神官の話



 ソファーに腰を下ろして、書類を見ているのはくすんだ金髪の男。つい最近まで牢にいたラッセル・ファムランだった「可哀相に」




「聖都で実験たぁ、いい度胸だな」

「それは違うでしょう」



 どうぞ、とラッセルにコーヒーを渡して、私は続けた。




「聖都でそんな実験したら、すぐに身元がばれる。わざと連れてこられたのでしょうね」

「わざと?」




 一人で住むには、やや広い自宅にはラッセルと二人で住んでいた。どうせまだラッセルは監視の目がついてまわる。その役目の一人が私なのだから、と彼を呼んだのである。長く牢にいたラッセルは自分の持ち物はないのでむしろ「居させろ」的な感じなのだった。

 意味がわからない、といった顔のらしいラッセルは正しい。
 人体実験に関わらず、たいてい闇術は聖都以外の場所で行われる。聖都は―――清浄だからだ。大掛かりな闇術ほど聖都以外の場所でされる。




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