とある神官の話
「昔、私も化け物と呼ばれたことがあった」
「!」
私は、シエナと違って人間じゃないから。人間じゃない?私は聞き返した。父さんは、やや寂しげに「私はヴァンパイアなのだ」と言った。
聞いたことがあった。血を吸う人たち。化け物。とてもそうは見えなかった。
私は、知っている。
私を勝手に保護し、"娘"としたら彼が上から喧しく言われたことを。
私は知っている。
忙しい合間を縫うように町に出て、私に見合う洋服を買ったり、裁縫をしたりしていることを。
恐ろしいか。
「――――父さん」
私がそう呼ぶたび、その綺麗な顔に似合わない笑みを浮かべる。だから、私はそう呼ぶ。君の好きなように呼べばいい。でも、私は君の父親なのだよ。セラでも父さんでも何でもいい。我が娘よ。
「私、怖くない。もっと怖いの、知ってる。私、化け物。でも、父さん、怖くない」