とある神官の話
無性に、怖い―――――。
「――――」
人の気配がした。ゆっくり立ち上がり、顔を向けた。人。今時期に墓地で人に会うのは少ないのに。そういえば前にも、見知らぬ人と会ったっけ。
その人は、短髪で、中性的な顔をしていた。腰に細身の剣を下げている「あな、た……」
言葉が消えた。
「生きているというのは本当だったのだな。シエナ」
"生きているというのは"?
私にそう言うとしたら、誰だ――――いや、私は知っている。そうだ。私は知っている。昔、膝を抱えて、泣いていたあの子。
まさか、そんな。
「本当に驚いた。死んだと思ってたのに」
「ルゼウス」
「いいよな。"本物"は」
「っ」
父は何故死んだのか。
父は、私のせいじゃないと言った。けれどあれは、私も関わっていたのだ。私でのせいで死んだようなものなのだ。
私は、"本物"だったから。
距離にして数メートル。
最後にルゼウスに会ったのは、父が死ぬ前。まだ幼かった頃だから、ルゼウスがどのくらいなのか、私は知らない。ただ、ルゼウスが私を死んだと思っていたように私も、ルゼウスは死んだと思っていたのだ。