とある神官の話


「いつもそうだ。お前は、"本物"だったから、俺とは違ってた」

「それは」

「一番出来の良かった俺は、お前のせいで―――!」





 蹴る!

 一気に距離を縮めたルゼウスが刃を走らせる。一方の私は横にずれて回避するが、しきれない!切り裂かれた腕の痛みに顔をしかめる。
 まずい。
 ルゼウスが生きていた。死んでいなかった。混乱する私に容赦なく切り掛かる。つまずき、雪の上に転がった私の真上に、ルゼウスが刃を突き付けた「死ねよ」

 振り下ろされる刃を受けるつもりで、私はじっと見据えた―――――が「っおい」



「チッ」

「待て!」




 投擲されたナイフは壁にぶつかっただけで、消えたルゼウスに当たることはなかった。
 ひゅっと空をきった刃を持ち、そこにいたのは「ロマノフ局長」だった。ルゼウスが消えた方向ひ睨む姿はやはりさすがだった。
 神官服でも戦闘用を身に纏ったその背が、こちらに振り向く。



「大丈夫か」

「は、はい何とか」



 差し出された手を掴み、何故、と聞いた。どうやらヒューズの墓へ行くつもりだったらしい。雪の上に散らばった花が無惨な形となっている。



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