とある神官の話
父が聖都へ向かって、二週間目に差し掛かろうとしていた時だった。
老夫婦のもとで世話となっていた私は、一旦荷物などを取りに行くため、家へと向かった。父は一ヶ月はかかる、と手紙で言っていたため、まだ一週間は帰らない。なのでたまに家に帰り、掃除をしたりしていたのだ。
―――そう。
あの日も、私は「家に行ってくる」と自宅へ向かったのだ。そして「ぎゃああぁあ」
それは、間違いなく悲鳴だった。
「おやおやぁ?まだいたのか」
悲鳴が聞こえて家から一歩出たら、そこには悪魔が立っていた。そう、あれは悪魔だった。血に塗れた悪魔。
手には、何かをぶら下げていた。それが長い髪の女性のものだと気づき、私は一歩一歩後ずさる。背後には上半身と下半身がばらばらとなった者が転がり、突き刺さった刃には子供がぶら下がる。
―――逃げなくては。
血にまみれた男は青白い顔をしてにやり、と笑う。
体中に奇妙な文字の帯を浮かび上がらせ、そこにいた。にやり、にやり、と笑みを零せば零すほど、悪寒がする。逃げなくてはと思うのに、動けない。
男前小首を傾げた。
「うーん。あいつは居ないみたいだけど。どうしてこんなちびっこいのに、あいつの術がかけられてるんだろうか」
「っ!」