とある神官の話
見たことがない魔術陣が描かれた部屋。それをガラス越しから、ウェンドロウと私は見た。ガラスにはね、術がかけられている。ふふふ、何が起こるか、お前は見ればいい。ここまでは"被害は出ない"ようにしてあるから。存分に見れる。
部屋には数名の子供が連れて来られた。足に鎖を、むきだしの腕には模様が描かれた、いや、彫られた、といったほうが正しいかもしれない。
連れてきた者達が去り、部屋には子供だけ。顔には怯え。
さあさあさあ。始めようか?
ウェンドロウは私の隣でそう言うと、ガラスに手を突っ込んだ。ガラスは割れない。術がかけられているのだ。突き抜けた腕は子供たちの部屋に抜け、それを子供は見上げた。
指を、鳴らした。
―――――見た。
それは、何なのかわからない。顔にも見えた。顔?顔なのだろうか。ギィヤヤヤヤャァァァァ!という、悲鳴というよりも慟哭に近いのかも知れない。光った陣から伸びた、無数の触手のようなもの。私の口からは声のない悲鳴が漏れる。
やめて。やめて。
子供たちにそれは容赦なく襲い掛かる。牙が見えた。食事には口みたいに裂け、子供たちの体を喰らう。咀嚼していく。
あれらはね、私が"新しく植え付けた"者たちなのだよ。何故力を持つものと持たぬものがいるんだろうね。私は、"本物"が欲しい。私が欲しいのは、そういった本物なのだよ。
「お前」