とある神官の話
「俺は欠陥品なんかじゃない。失敗作でもない。偽物でもなく、本物なんだ。本物。そう、本物なんだ」
「ルゼ、ウス」
「お前なんか」
―――――大嫌いだ。
部屋に響いたルゼウスの声は、すべてを震わせた。ウェンドロウが「傑作だ!」と声をあげる。それは突然現れた。
十字の形は、磔。ルゼウスは後退していた。私は手の痛みに呻く。
何があった?
ルゼウスは「俺は、選ばれたんだ」と何度も漏らす。何が。大きく笑うルゼウスは、あきらかにおかしかった。
それは、まるでルゼウス自身が話していたイカれてしまった子供のように――――。
「やはり研究の成果はあった!ああ、無駄な犠牲ではなかったようだ。ふむ、記録をとるべきだな」
恍惚というウェンドロウ。私は腕の痛みと覚えながら、連れていかれるルゼウスを見送るしかなかった。「ルゼウス!」そう呼んでも、振り向かなかった……。
帰りたい。
帰りたかった。
父さんに会いたい。私は化け物なら、こんなことどうだというのか。私は、帰る。でも、ウェンドロウは囁く。帰る?帰るだって?何処にだい、"シエナ"。
それは――――衝撃波となった。
あちこちの壁を、ガラスを振動させた。