とある神官の話
「これは」
"魔術師"の能力であっても、それはどういうわけか、優性と劣性がある。"本物"は本当に、目にかかることはないだろう。ウェンドロウは欲しかったのだ。自ら魔術師を名乗って、闇術に手を染めでも、"本物"の、真の力を欲した。
ただでさえ"魔術師"の能力は稀少で、見つけることが困難である。故に実験していたのだ――――人工的に、能力持ちを生み出せぬかと。
部族に比較的能力持ちは多いとされるのは、ウェンドロウも知っていた。だから、私が見た子供たちで、聞き慣れない言葉を話す子がいたのだ。
そんなに、欲しいのだろうか。こんな力が。
――――それからは、あまり覚えていない。磔状態から私の体は解放されたが、倒れたのだ。遠くで「素晴らしい!」というウェンドロウの声を私は聞いたっきりである。
次に記憶があるのは、個室にいれられた時。私への"施し"がされていた時だ。それは特別扱い、ということであった。だが私には何も、感じない。それが何だというのだろう。子供を殺して、何になるというのだろう。
私は、ウェンドロウの"お気に入り"だった。自慢げに私の能力を封じ、自由を奪い、逃げられるとでも?ふふ、そんなのは無理だ。シエナ。私は君の名前も知っている。言葉には力があって、私はお前を支配したのだよ。
すべて、霞んでいた。