とある神官の話




 あちこち蝕むような痛み。あわただし雨動き回るような音と破壊音。何かの実験であろうか。だが――――まるで地震のようだ。
 私はここから出られない。
 ウェンドロウの囁きが聞こえた気がして、身震いをする。一人だ。独りぼっち。ルゼウスはどうしただろう。可哀相なルゼウス。私はぼんやりと扉を見た。開けられるだろうか。いつもなら開けられない。何かの予感だった。触れた扉は弾けるようにして開く。"力"が使えることに少し驚いた。勝手に使えないように術が施されているはずだったのに。


 無機質な廊下が、割れていた。いや、破壊されていた、というほうが近い。何があったの。どくどくと心臓が煩い。私は何を期待している?助けなどこないのに。誰も私を、知らないのに。




「逃がすな!殺せ」




 そんな声がし、私に見向きもしないローブを来た男らが走っていった。やはり何かあったらしい。
 捕まったら厄介になるだろう。殺されるかも知れない。殺さるなら、楽になれる。どうせなら全部巻き込んでやればいい。そのくらいなら出来る気がした。

 ―――――終わらせてやる。



 建物の中は、はっきりいって私はよくわからない。ウェンドロウに連れていかれるのはたいてい、同じような場所だからだ。

 まだ揺れる建物に、私は壁に手をつく。刻み込むまれた背中が痛んだ。呼応するように。



「手間が省けた」



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