とある神官の話



 そんな声がした、と思ったら部下を従えたウェンドロウだった。部下はローブから覗くのは青色。大抵ウェンドロウの傍にいた男だ。逃げなくては、と思った。でも逃げられるはずもなく。ウェンドロウは「後は任せた」と青色の男に囁く。
 腕を掴まれ、私は引きずられるように歩く。厄介者が入り込んだのだよ。ああ嫌だね。嫌だ。面倒だけど、"削って"やろうではないか。




「勿体ないが、仕方あるまい。こちらには、まだ――――」




 私は、何を見た?

 嗤うウェンドロウか。建物や人を殺しつくす人形のようなルゼウスか。死体ばかりが転がる。久しぶりの空はこんな色だったのか、と思うような色だった。空よりも赤のほうがひどく目に焼き付いて離れない。怒声。怒号。


 私の記憶にある貴方は、誰。
 私に好きだというのは、誰。





「シエナ―――――!」




 私を呼ぶ、貴方は――――?




  * * *



< 381 / 796 >

この作品をシェア

pagetop