とある神官の話
「ふざけるなよジジイ共」
"あの"キース・ブランシェ枢機卿が暴言を吐き、ロマノフ局長が頭を抱え、それに便乗するようにヨウカハイネン・シュトルハウゼンが毒舌を発揮する。ここにミスラ・フォンエルズがいたらもう混沌となりそうだった。
呼び付けた本人と、何故ロマノフ局長がいるのか。
「第一、猊下はその当時にお決めになったはずだ。それを何だ、危険だからという理由で彼女を閉じ込めるのか?」
「ブランシェ枢機卿。しかしだな、何かあった時にどうする?シエナ・フィンデルは、かつての実験台とされた生き残りから襲撃されている。しかもつい最近保護されたという子供からは――――迎えに行く等とメッセージがあったというではないか」
襲撃?
どういうことだ、と思っていると、ロマノフ局長が小声で話した。
墓地で墓参りに来ていた彼女が、襲撃されたこと――――。それは彼女の"過去"に関わることだと。
それは人体実験に関わる話。セラヴォルグが裁いたというウェンドロウの話には、公の記録にはない事実がある。
シエナ・フィンデルの過去。
ぐっと手を握りしめる。
読めてきたからだ。
「当時、あのセラヴォルグ・フィンデルが死んだのは痛手だった。聞けば、ウェンドロウを裁き、あの娘を助けるために命を落としたようなものではないか」
「それは違う。奴はもっと別の"何か"を発動しようとしたのだ。それを防ぎ、まだ子供だった彼女を助けた」
「ふん。どちらにしろ昔から、危険因子なのには変わりない」