とある神官の話
―――彼女の名を知られるだろう。
決定が出ないまま、会議室を出てきた私はぼんやりと窓の外を見た。
まだ冬は続く。四季が存在していて、些か冬が長いここ聖都ならばまだ雪は降るだろう。
気が重い。
「エ、エルドレイス神官」
不意にかけられた声に、私は振り返る。そこにはほっそりとした女性が立っていた。何か、と聞けば女性は唇を何度か震わせ、迷っているようだった。
……またか。
前から、こういったのは何度もあった。私宛てにプレゼントを贈ってくる。声をかけてくる。喧しい、煩わしいとしか思えないそれは、今でも変わらない。
血の繋がりがないとはいえ、私の父はエドゥアール二世なのだ。父が、大きすぎるのはシエナと同じかもしれない。
「私は―――――貴方のことが好きでした」
「申し訳ありませんが」
「ええ、いいんです。その、エルドレイス神官は、フィンデル神官を大切に思っているのでしょう?」
「―――」
二人で前に歩いているのを見ましたから。そう笑う女性に、私も思わず苦笑してしまう。それもそうだ。仲良く歩いていたが、シエナは私に「ストーカー予備軍ですね貴方は!」と言っていたのを聞いたらしい。