とある神官の話
お前、彼女のことはほぼ聞いたようだな。それに私は頷く。
大きく息を吐いた父は、セラヴォルグについてを話した。ハイネンより年上で、神官歴も長く、そしてアガレス・リッヒィンデルの友人だった。
優秀だったアガレスと、セラヴォルグ。そしてハイネン――――共に友人同士であったが、一人は犯罪者に、一人は亡くなり、そしてハイネンは一人、ここに残っている「奴は」
「彼女が一人で生きていけるように様々な手を打った。危険性を減らすために術を重ねること、そして知り合いに彼女のことをひっそりと頼んだこと―――ま、いろいろやっていた訳だ」
「つまり、父さんにも?」
「"可愛い娘をよろしく"ってな」
そうしてシエナ自身が知らないまま、彼女はひっそり守られていたのである。父や、ハイネンらに。
何を思い出したのかにやにやとしながら、「ふむ」とこちらに視線を合わせた。
「俺は彼女自身が危険だとは思ってない。だが、"もしも"があったらという話はしてあるし、当時の会議でそう決めた―――――だからこそ、お前はここに来た」
「ええ」
わかってるくせに。
この人は楽しんでるとしか思えない。それは意地の悪い悪ガキを思わせる。そういえばハイネンは"ハナタレ"呼ばわりしていたな、とぼんやり思った。
彼女がジャナヤに行くことは、すでに決定的だ。しかも切り捨てられても何ら問題ないと言われているのだ。万が一そんなことがあったら、怒り狂う者は思い当たるからそういかないだろうが。
決まっているのだろう?そう言われて、「ええ」と返す。そうだ決まっている。私は私でやるつもりだ。好き勝手にさせてたまるか。