とある神官の話


「父さん」

「行くからには覚悟していけよ。それから」



 ―――守ってやれよ。



 言われなくても、と私は返す。当たり前ですし生きて帰りますよ、そういえば「ったりめえだ馬鹿息子」とエドゥアール二世、もとい私の父フォルネウスは満足げに笑った。





  * * *





 また一人、子供が消えた。



 刻み込まれた術式が体を蝕み、精神を病ませる。それは成功したとしても短命で、必ず死んでしまう。成功しない。わかっている。ぼんやりと背後に控えながら、血を撒き散らした死体を見た。
 それを同じく見ているのは、青色の髪を持った不気味な男である「ふむ」




「やはり成功しない、か――――で?ルゼウス」

「はい。聖都で子供放してきました。それから」

「"本物"は生きていただろう?」




 知っていたのか。
 拳を強く握り、「はい」と答える。それはもそうか。青色の髪と青白い顔の男―――ハインツが「聖都で子供を一人放してこい」と命じたのだから。

 "本物"と"偽物"。

 俺は本物になりたかった。あのウェンドロウが唯一、彼女を本物だと賞賛した。なりたかった。たりたいか?ああそうだろうね、ルゼウス。でも私は、君は、見込みがあると思うのだよ。君が一番、近い「ふふふ」



「さてどうなるか。勝つのは私か?」



 ウェンドロウの遺志を継いだ男――――ハインツは、不気味に微笑んだ。






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