とある神官の話
* * *
「あーあ」
男は欠伸をした。その容貌は女性に人気がありそうな若者といった様子である。シンプルな上着とマフラーが風に靡いた。
建物の屋根の上に、しゃがみ込む男は大きく息を吐く。つまらないとでもいうように。いや、実際つまらない「で?」
「何をするつもりなの?」
「何だと思う?」
「さあね。僕の知ったことじゃない」
「ならば何故、"力"を貸した?」
赤髪の男――――ヤヒアは思い出す。彼、ウェンドロウが生きていた時。ああ人は愚かだ。実に愚か。だからこそ愉快で、破壊したくなる。
死んだ。そうだ、確かに。しかし彼は"本物"だったのか?など、疑う者はいない。彼が何の実験をし、成果をあげようとしていたかなんて。しかし、だ。セラヴォルグという男は優秀だった。だから感づいて、先手を打ったのだろう「簡単さ」
「面白いから」
そう。面白いから。
馬鹿らしいかもしれない。ヤヒアは笑う。己のものにしてしまいたかった。"あれ"は僕のものだよ―――――。
悪魔が、嗤った。
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