とある神官の話
話し合いが続いていたためか、ハイネンの笑みには力が無いように見えた。見張りめいている神官は嫌だったでしょう?と言われて曖昧に頷く。
自宅にいた私は、出来るだけ外出を控えて家に篭っていた。ウェンドロウなどという名前や、人体実験云々の話し合いが出てき来たのだ。自然と関わる私も、危険だと見張りがつくのは仕方ない。ルゼウスから襲撃されたのもまた追い撃ちとなったのだ。
自宅には護衛をかねたアゼルが来ていて「あんの糞やろうども」と愚痴りつつ、日々を過ごしていたのである。
「済まない。面倒ごとになって」
「いえ……」
連れて来られた部屋に、ブランシェ枢機卿と、「よう、嬢ちゃん」と茶目っ気たぷりにウインクしてみせるラッセル、そしてむすりとしたアゼル・クロフォードがいた。
小声で「一戦やって来たばかりなんだよ」とラッセルがいえば、「煩い髭」と暴言がとんだ。
「ジャナヤの件で、君に話そうと思ってな」
「堅苦しいですねえ貴方。今からそんな緊張してどうするんです。ああ、嫌だわ。もー」
「何でおネェ口調……?」
やや強張った私に、気を使ったらしい。座ったのを確認しつつ、わざとらしい咳ばらいで話がブランシェ枢機卿に戻る。
「ジャナヤへ向かうのは、年明けの二日だ。それに今回は転移術を使う」