とある神官の話



 転移術は、そう簡単には使えない。ようは"テレポート"であるが、失敗すれは戻って来れずに変な場所へ飛ばされる。それだけならまだマシだ。最悪、その術式に呑まれる可能性だって無くはない。だが、それは能力持ちでかつ、"魔術師"がいれば限りなくゼロに近い失敗となるのだ。
 私は―――使ったことがないが。
 "魔術師"の能力は使用できる範囲が限りないといってもいい。ゆえに"魔術師"なのだ。

 ブランシェ枢機卿の話しはこうだった。

 ジャナヤまで徒歩だとかなりかかる。故に転移術を使い、近くまで向かう。目的は調査、でもあるが"敵"がいたならば捕えるか、抵抗があれば裁くことになる。"裁く"というのはつまり、殺しても良いということだ。
 はっきりいうと、怖い。



「表上は"調査"で、裏はお前たちだけで何とかしてこい状態っつーわけか」

「しかも遠回しに"死んでも構わないからさあ行ってこい"と言われた。てめぇが死ねって言いたくなった」



 会議は荒れたらしい。
 口が悪いアゼルはいつものことだが、とばっちりを喰らうか如く「お前ももうちょっとしゃきっとしろ」とブランシェ枢機卿の顔が引き攣る。

 新年で忙しいし、人材を割きたくない。少人数となるのは仕方ないだろう。
 もし手に負えないなら、すぐさま連絡をいれて部隊を派遣してもらうことになる。武装神官、というわけだ「それで」



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