とある神官の話
「メンバーは大体、君の知り合いで構成される。その点はやや安心感があるだろう。ハイネンしかり、だ」
「はい」
「キース、貴方もここからが勝負ですよ?」
びくり、と肩が震えたブランシェ枢機卿に、私には疑問符。だがアゼルが「ま、ミスラも向こうで動くだろうな」と口を開き、ついに大きな溜息がでる。
"ただの"神官であるハイネンがこれだけ自由に動き回れるのは、やはり協力者かいるからで。
聖都を離れれば、キースらがヒーセル枢機卿らとの戦いに応じなければならない。
「私はミスラと貴方に突き付けられた条件を飲んだのです。それ以上の働きはして下さい」
「……貴方がたは私の胃に穴を空けたいのか」
「おい、条件ってなんだ?まさか春にあるとかいう、枢機卿を選ぶとか何とかか?」
人事関係はやはり春が多い。
そういえばそんな噂を耳にしたことがあった。現在、枢機卿は少なく、神官から新たに枢機卿が選ばれるのではないかと。
ラッセルの冗談半分で言った言葉は、まさか、と驚きに変わる「本当なのか?」
つまり。
二十年近く前のアガレス・リッヒィンデルが起こした事件は―――多くの犠牲者を出した。それから枢機卿の数は減ったままといっていい。当時なんたって有力とされたエドガー・ジャンネスは断るし、ヨウカハイネンは一蹴したのだ。
そんな二人がやはり候補にあがるのは当然であるが、ハイネンは自由にならない枢機卿をまた一蹴するだろうと考え、ミスラ・フォンエルズ枢機卿とキース・ブランシェを筆頭とし、彼を枢機卿に推すことを決めたのだ。
今の状態を変えるために。