とある神官の話
夢を見た。
それは懐かしい夢なのか、わからない。でも、感覚的に懐かしいと思った。
つかみどころがないから、夢なのだろう。そう私は判断した。が、その懐かしさは一辺し、明るい色を失う。何があったのだろう。何が……?
* * *
何かあったら、とにかく人の多いところへ。
少年はついさっきまで隣にいた人物の姿を探した。だが、あるのは買ったお菓子と、彼女がお守りだと持たせてくれたものしかない。
少年は不安になった。
少年はその人物の言葉を思い出す。何かあったら、と。彼女が買い物に連れていってくれるさいに、万が一と少年に持たせたのは小さなアクセサリーだ。姉のように慕い、大好きな人が消えてしまった。少年はそのアクセサリーを握る。
嫌な予感がした。
最近危ない事件があった、というのは知っている。今から孤児院に戻らなくては。少年はそう思った。が、それより先に、少年は向かう。
中央までは遠い。なら、と少年は考えた。
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