とある神官の話




「お、ぼうず。どうした」






 聖都のあちこちに、今は事件の関係故に、いつもより多く巡回神官を見かける機会が多い。神官を見つけるには少々時間が必要だが不可能ではないだろう。

 はぐれないように「神官さん待って!」と声を張り上げると、気づいた神官の二人組が振り返る。少年は神官のことは多少知っていた。何たって、今いなくなった人も神官なのだから。



 少年――カイムはアクセサリー……何か攻撃された場合、防壁を生み出す術が施されたものを神官に突き出した。
 それは下級神官のものというより、かなりの能力持ちの神官のもの。それをみた神官の男が「どうした、それ」と声を潜める。






「お姉ちゃんが……シエナお姉ちゃんがいなくなっちゃったんだ!」







>>
< 41 / 796 >

この作品をシェア

pagetop