とある神官の話



 私は知っている。まるでただのモノとしか見ていない彼らを。また失敗か?ああ全く。使えないねえ。囁く声、痛む肌。多くの死体と赤。助けて、という声すら出せずに死んでいく。呑まれていく。





「また復活したというなら破壊するだけ。覚悟はよろしいですね?」




 あれは、地獄なのだ。

 もし、私のせいで危険なのなら、私は私を差し出そう。危険だと叫ばれる、"本物"を消し去ってしまおう。

 揺らぎながらも、私は覚悟を決める。





  * * *



 ――――――???前。



 一人の青年が、空を見た。曇天。青年は晴天をしばらく見ていないな、と思う。

 青年は美しい青色の髪を揺らし、歩いていく。青年の心は些か憂鬱だった。神官という地位を手に入れたとしても、何処か残る空虚が残る。それを友人はどう埋めているのだろうか、と思いながら、歩く。





 たどり着いたのは、家。ぽつんとあるそれは、家というよりも小屋というほうが良いような気がする。だが部屋もあるようなつくりなのでやはり、家か。何処に行くんだ、と聞いた。だが「ついて来い」といったっきりなのだ。誰かを尋ねるのか。
 どうみても青年にしか見えない青い髪の男――――アガレス・リッヒィンデルは、一体己を何処に連れて来こうとしているのか。

 拾われるようにして、己も神官となったまではよかった。意外にも一人でいるよりは愉快ではあるが、一人でいた時のほうが長いからか、どうも群れるのは苦手なのである。
 長い命故に、我等同族の死因は自殺が多い。長く生きていれば嫌にもなってくる。満たされたい"何か"。私は気づかないふりをする。アガレスが「ならば探せば良い。私のようにな」と言ったのを、何となく胸に秘めながら。




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