とある神官の話
「では、枢機卿や教皇らのでっちあげだと?それは厳しいと思いますが」
「闇に堕ちた時点で一種の異常者となってしまう。ただ頭のいかれただけなら、こんなに頭が回らなずにすぐに捕まる―――誰かが、何かしら動いているはずなのだ」
「何か隠しているとしても、何のために?」
「わかったら苦労しない」
そう苛立たしげに言って背中を向けたアガレスを追いかけようとした。だが、それを制したセラヴォルグが「ハイネン」と続ける。
「人体実験が行われた土地は、厳重に浄化をはかる。だが、全く"穢れ"を感じないというのは、可笑しくはないか?――――少し前から、違和感があったのだ。それを上の連中は取り合わない」
「……」
多くの血を吸い、闇術が使用されたというのに―――確かにおかしかった。まだ今はいい。また昔に遡れば、可能性だけで人々を殺したという時代もある。
可能性のあるものは、切り捨てるべきか。わからなくもなかった。危険なら切り捨て、多くの幸せを取るというのも、完全には否定できず、むしろ当時の私は肯定的だったといっていい。
しかし、だ。
――――――アガレスも、セラヴォルグもヒトを愛していた。大切だったのだ。
燃え上がるのは、まるで生き物のような焔。そして死体。死体死体死体死体。死体の山。それは首か無かったり、腕や足が吹き飛んだままだったりと様々だ。
男は、呆然としていた。