とある神官の話
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大晦日となった聖都では、人々の姿もまばらとなる。店も早くに切り上げられることが殆どなため、買い物客はやや急がなくてはならない。
少し、説明しよう。
一般に"聖都"と呼ばれることが多いが、正式名は<フィストラ聖国>という。永久的に中立を保ち、<フィストラ聖教>という宗教にも関わる国である。遥か昔、所謂魔物の出現に人々が苦しんだ時代に、魔物や悪に対抗するべく、人々のために立ち上がったのが<フィストラ>という人物、いわば神であった。
<フィストラ>は人々が悪に立ち向かえるよう、神の力の一部を人々に与えた――――それがいわゆる、万人が使えず、一部の者にのみ現れる"能力"である。
<フィストラ>が人々の前から姿を消した後、彼が選んだといわれる最初の王が生まれ、王国が出来る―――――が、現在は王国ではなく、<フィストラ聖国>とし、永久中立国となってからも長い。王国時代からを思うとかなりの歴史を誇る。
王国時代、代々の王が<フィストラ>の名を継ぐ風習があったことにより、初代の王の即位した日、かつ神である<フィストラ>が姿を消した日が、十二月の二十六日。その日は休日であり、長い月日によって二十四からその日までの三日は、聖都で祭事が行われる。
それが過ぎると新年の準備に入り、元旦に教皇が祈りを捧げる祭事があるのだ―――――――。
真っ白の衣に身を包み、その者は新年を祝う祈りを捧げる。正装をした枢機卿がそれに倣った。
式は、一部は民間人にも解放されて見ることが出来るようになっている。しかも式の後は宮殿の外へ、天候が良ければ教皇エドゥアール二世が姿を見せるため、解放された広場にも人々が待っているのである。
式は、厳かに進む―――――。