とある神官の話
宮殿で式が厳かに行われている中。
正装をした私はというと、聖都内にある小さな教会にいた。
聖都に住んでいるものは大概、宮殿の方へ向かっているため、人は少ない。礼拝堂の内部に並ぶ椅子には人は疎らだった。それでも小さな子供を連れた母親や、年配の夫婦の姿に、何処か痛むような懐かしさを覚える。
小さな教会での祈りの手伝いをしている私は、年配の夫婦が去ったあと、あれ?と思った。
黒の外套に、美しい青色の髪。見たことがある顔「君は」
「神を信じるか?」
その男は、そう――――ヒューズの墓へ行った時にいた男性だ。ヨウカハイネンに対を張るくらいの美貌の男は、何処にいても様になるな、と思った。むしろこういう人は、人混みよりもこんな、静かな場所のほうが似合う。
突然男がそう口をひらいたので、私は戸惑ってしまう。
「半分は」
「半分?」
聞き返した男に、私は思い出す。
何にでも魂は宿っている。そんな考えを持つのが<フィストラ聖教>の特色でもある。つまりそれは一神教ではなく、多神教を意味する。
父は神官でありながら、どちらかと言えば強い信者ではなかった。それは同じ神官となった私も同じ。
助けてと何度も祈った日々。けれどかみなんかは私には目を向けず、私は切り刻まれた。助けたのは神ではなく父だった。神様がいる、という幻想は現実では通用はしない。だが、世の中には説明のつかないこともあるというのを、私は知っている。