とある神官の話
「ラッセル」
「―――ああ」
ラッセルが一歩、進む。そして最大の炎で燃やし、破壊する。音のない悲鳴。それは世の中を恨むように手を伸ばす。だが力尽き、消えていく。
地下通路にて襲われ、合流出来たのはよかった。だが肝心のシエナがいない。それからゼノンも。
滅びよ、という声が響き、静寂。だがそれは一瞬のことで、すぐに「おいハイネン!」と鋭いアゼルの声。振り返ればそこには「子供?」
粗末な服を着た子供が、入口に立つ。無表情なその子供が、俯いていた。
子供は、嗤う。
床を蹴った、と思ったら二本の短剣を手に切り付けてくる!アゼルは間一髪で避けたが、相手の姿に戸惑う。
入口からは、複数の子供たちが武器を持って、襲い掛かってくるのだ。
「おいおい冗談じゃねえぞ」
気がつけば、囲まれていた。
子供。私も地面を蹴って回避。まるで訓練を受けたような動きをする子供らは、ただ私らを狙う。
だが――――と攻撃をかわしながら、気がつく。
確かに子供だ。だが「ハイネン!」
「切り捨てなさい!そいつらは偽物だ!」
両断。胴体が床に転がる。しかしそれは血が出ないという奇妙なもの。倒れたそれはまさに"人形"だ。