とある神官の話


 人形、人形ねぇ……。
 アゼルたちが反撃に出た中、思い出す。ウェンドロウ関係といったら、他にもなかったか。
 だが確証はない。昔、ウェンドロウに近寄ったとかいう話もあっただけのこと。

 何体めかの"人形"を切り捨てる。


 キリがない、とラッセルが炎を放とうとした時だ。上空から槍。後方へ待避し、仰ぎ見る。

 赤い悪魔が、嗤う。




「やあ。新年あけましておめでとう」

「―――ヤヒア」

「おお怖い顔」

「ふざけるな!」




 止める前に、アゼルが己の能力で魔術媒体を出現させ、展開。だが「ちょっと黙ってなよ」と片手をふるヤヒア。アゼルの体が壁に激突。
 動きをとめた人形が、だらりと腕を落とす。

 何故お前が。アガレスのために動くことが多いヤヒアが、何故?この件にアガレスが関わっているのか?
 私は剣を握ったまま、にやにやと笑むヤヒアを見つめた「笑っちゃうね」



「ちょっと手を貸したくらいで、本当に不死身になれるとでも思ってさ。所詮人形は人形だし、正しくない方法でこの世に留まれば、どうなるかわからないのかな」

「どういう」



 嘲笑。
 不死身など、ありえない。生き物は死ぬ。長い命を持つ種族はいる。だが不死身ではない。


< 423 / 796 >

この作品をシェア

pagetop