とある神官の話
人形、人形ねぇ……。
アゼルたちが反撃に出た中、思い出す。ウェンドロウ関係といったら、他にもなかったか。
だが確証はない。昔、ウェンドロウに近寄ったとかいう話もあっただけのこと。
何体めかの"人形"を切り捨てる。
キリがない、とラッセルが炎を放とうとした時だ。上空から槍。後方へ待避し、仰ぎ見る。
赤い悪魔が、嗤う。
「やあ。新年あけましておめでとう」
「―――ヤヒア」
「おお怖い顔」
「ふざけるな!」
止める前に、アゼルが己の能力で魔術媒体を出現させ、展開。だが「ちょっと黙ってなよ」と片手をふるヤヒア。アゼルの体が壁に激突。
動きをとめた人形が、だらりと腕を落とす。
何故お前が。アガレスのために動くことが多いヤヒアが、何故?この件にアガレスが関わっているのか?
私は剣を握ったまま、にやにやと笑むヤヒアを見つめた「笑っちゃうね」
「ちょっと手を貸したくらいで、本当に不死身になれるとでも思ってさ。所詮人形は人形だし、正しくない方法でこの世に留まれば、どうなるかわからないのかな」
「どういう」
嘲笑。
不死身など、ありえない。生き物は死ぬ。長い命を持つ種族はいる。だが不死身ではない。