とある神官の話
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年が明け、まだ新年の雰囲気を纏わせたままなのが街の中で見ることが出来るだろう。聖都戻ってきて、何だかもう何日もたったように思えてならなかったが。
―――――散々だ。
思えば、これだけいろんなことがあった年も珍しいし、初めてだった。今までは最小限の人間関係しか私は持っていなかったし、技術面だってそうだ。
ストーカー予備軍―――あのゼノン・エルドレイスに付き纏われる(としか思えない)ようになってから、とくに色んなことがあった。それを身になったというべきなのだろうが、はっきりいえば自信がない。
普通が一番だ。普通が。そう思うが、もう"普通"じゃないのではないだろうか――――。
呼び出しを受けて来たのは、正当な手段を踏んだものではなかった。普通ならばもう面倒くさいと思うような手続きをしなければならないだろうが、案内をしてくれたのは、人あたりの良さそうな年配の神官、エドガー・ジャンネスであった。
会って早々「新年あけまして、というには些か大変でしたね」と言われた。それもそうだろう。
ジャナヤの件で出ていたこともわかっているのだ。
正式ではなく、というのが呼び出した相手か手っ取り早く会える方法なのだとジャンネスが本人から聞いたらしい。
呼ばれた理由は、わかっていた。
「ジャナヤの件の報告はハイネンらからあがっている。大変だっただろう」
白を基本とした法衣を纏った男は、書類の山がある机からそう発した。亜麻色の髪に、中年といっていい年齢であろうが、その美貌は若い頃女性らを虜にしたであろう影が見える―――現教皇、エドゥアール二世である。
教皇の執務室というには些かシンプルすぎやしないか。初めてエドゥアール二世と会った時の部屋のほうが豪華ではないかと思うくらいだった。必要最低限のものしかない。
ジャンネスがお茶とお菓子を置いて退出した後に教皇は口を開く。