とある神官の話
しばらく目を閉じ、ふっと再び開いた。額からアクセサリーを遠ざけ、息を吐いた。
少し疲労の色が見えたが「暗い所が見えました」
「今の所、お二人は無事でしょう。しかし、少女の姿は見えませんでした」
「見えなかった……」
「ええ。見えたのはシエナさんだけです」
聖都の中央から離れた、古びた教会。教会は老朽化し、立入禁止となっていた。
そして、影。小さな部屋に閉じ込められているシエナの姿。ジャンネスが見たものはそれと、やはり闇術の陣であった。
思えば、担当でない自分が出張るのはどうかと思う。だが、今となっては違う。待っているだけはいられない。待っているだけでは……。
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