とある神官の話



* * *





「しぃ」




 人差し指をたてて、声をたてないように合図する。少女は怯えた顔を少し和らげた。少女は猿轡をされていて話せない。
 少女―――ジョゼッタの安否を確認。怪我はない?と聞けば小さく頷く。
 とりあえずほっとした。



 さて、と私は見渡す。


 私はカイムと買い物に出たが、背後から何者かに気絶させられたのだ。頭がまだずきずきと痛む。
 目覚めた時には部屋に閉じ込めていた。薄暗く、埃っぽい部屋。冷静に振り返っていると、隣の部屋に誰かが入れられたのだ。私と同じような状況ならば救わなくてはと思ったのである。
 以外だったのはそれがジョゼッタだったことだ。


 私は手や足を縛られてはいたが、単なる縄ならば簡単にぬけられる。
 神官という肩書の中で、私は特殊な分類にされる"異能持ち"であり、その中でも"魔術師"を持っているからだ。





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