とある神官の話
真下には赤黒い色で描かれた陣。闇術だ。そして、宙に浮いていたそれをみて、私は声をあげそうになった。
物体。陶器のように滑らかだ。断面を除いては。
浮いているのは人の腕や足、胴体などである。吐き気。人体召還術か。私は円状の陣が描かれている側の影を見る。一人じゃない。
私やジョゼッタがいなくなっていることは既に知られているだろう。時間を稼がなくてはない。
ワタシノジャマヲスルナ
影がこちらを見上げた。青白い顔。女。ダナ・フィルタ!
床が抜けた、と思ったときには地面に転がった。ぶわりと埃が舞い上がる。そして血の臭い。まずい。打ち付け痛む体を起こすが、背中に重み。背中にのしかかるのは足だった。
押し付けられ咳込む私をよそに、側にローブの裾をひきずって近寄るダナ・フィルタと目が合う「貴方もなの……?」
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