とある神官の話
それは少し前。
「戻ってきて早々かよ」
「お静かに願います、ホーエンハイムさん」
黒髪をがしりと掻きむしると配置についた神官と兵士がそう言った。
男―――は「はいはい」と答えると同じく控える。
目を引くのは、赤。その赤い目は人としては珍しく、また不気味でもあった。どちらかというとがっしりした体型をし、腰には剣が下げられている。よく見ると服もまたあちこちに細工があるようで、そこから小瓶を取り出し、己にふりかける。
ランジット・ホーエンハイムが駅から降り立った途端、待ち構えていた神官に捕獲(とランジットは思っている)され、連行されたのはボロボロな教会。
詳しい話を知らぬまま連行されたので理由がわからない。ランジットはと近くにいた若い男に聞いて納得した。
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