とある神官の話
「っていったってよ、どうすりゃいいんだか」
「ここには研究者が多いので、腕の立つ神官も多いはずなんですがね―――あ」
そういえば、とゼノンが口を開こうとした時のこと。
扉が開かれた先に、不審者がいた。
その不審者はマスク(多分)をし、何故か衣服がボロボロで、赤い髪の毛がぼさぼさな姿はまさに不審者。
ぎょっとした私やランジットをよそに「あれ」と不審者が声をあげた。そして派手にくしゃみをし、その後に「もしかして先輩?」と口を開いたのだ。
「やっぱりそうだ。久しぶりですね先輩」
「お前こそ。で、その格好は何だ」
「ふふふ。ちょっと失敗しまして」
「…お前の失敗は失敗で済まない方が多かった気がするが」
目はどこ?という状態の男は、ふふふと笑う。…不気味だ。それもかなり。
溜息混じりにゼノンがこちらを見た「紹介します」と口を開く前に、男が先に言葉を発した。
「エリオン・バーソロミューです。能力は守護系で一応その、研究者っぽいです。因みにゼノンさんの後輩にあたりますのでお気軽に宜しく。――――そちらはもしかしてゼノンさんの彼女さんですか?」
……殴っていいだろうか。
ちらりと感じたのは、ややニヤつくゼノンである。この人は…!
「違います!断じて!」
* * *