とある神官の話



* * *





「あーあ、疲れた」

「お疲れ様ですね、ロマノフさん」

「んあ?」






 上からの"お呼びだし"と会議の帰り道。帰ったら寝よう、と決めていたヘーニル・ロマノフは、振り返った。

 そこにいたのは、年配の高位神官で「ジャンネスのおっちゃんじゃねえか」と声を上げた。





「あー……もしかして」

「黙らせてきましたよ」






 やっぱり!

 ロマノフはため息をついた。ジャンネスは昔「魔人」やら「魔王」やら噂されていたらしいが、見た目からならそんなイメージは全くない。だが、とロマノフは思う。

 昔、上のやつらが神官を馬鹿にしたようなことを言って見下した際に、その"魔王"っぷりを発揮したとかなんとか。


 あくまですべては噂である。




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