とある神官の話



「ハインツの…いや、ウェンドロウの件でお前らは一度ジャナヤに行っているだろう」

「もしかして、俺やシエナもってか?」

「ああ。しかし今アゼル・クロフォードとラッセル・ファムランは行方不明のままだ。そして、ゼノンも動けない」

「そうなると私と、ランジットさんと…」

「ハイネン、ということになっている」






 そう。
 アゼル・クロフォードも、ラッセル・ファムランも行方不明なのだ。彼らに何があったのかもわからない。レオドーラこそ大丈夫だろ、といっていたし私もそう思ったが…やはり心配だった。

 よくそれで文句が出なかったな、というランジットにキースは「出なかったと思うか?」とげっそりとした顔。思わず私ランジットは顔を見合わせた。

 どうやら相当、荒れたらしい。






「すまないな」

「いえ!謝ることはありませんよ」

「しかし――――君に何かあったら、私はゼノンに殺されるだろうな」

「あー、あのエーヴァルトにも、だな」






 何故そこでレオドーラが出てくるのか。
 首をかしげる私をよそに、同じく疑問符を浮かべていたキースに「ゼノンと"同じ"らしい」という言葉。
 私にはさっぱりだが、キースにはわかったらしい。
 なるほどな、と呟いた。






「ともあれ、まずは先遣隊がどんな話を持ち帰ってくるか、だ」

 



 
 ジャナヤで、何が?
 リシュターは何処に?
 先輩とラッセルは?

 わからないことばかりで、もどかしい。
 こんなとき、あのストーカー予備軍ならなんというだろう。

 

 ―――大丈夫ですよ、シエナさん。







  * * *





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