とある神官の話







 キースもまたふざけた雰囲気から一変。枢機卿らしい真面目な顔をした。



 それはつい最近あった、一人の女が起こした事件。その事件にゼノンが首を突っ込み、まわりが喧しくなっているのはともかく。

 捕まった女一人のほかに、その女に手を貸したものがいる。堕ちた者。
 禁忌とされているものに身を堕とした者は、追われる身となる。要は犯罪者だ。能力持ちの犯罪者ほど厄介な相手はいない。魔物ならばともかく、相手は何といっても人間なのだから。






「最近、きな臭いんだよな」

「確かに物騒ですが……」

「奴らが出てくるか」






 それを聞いていたキースの表情が変わる。




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