とある神官の話
「揺さぶりをかけるなら、その辺りを狙うと考えられる。奴はそれを早く済ませたい。今はあれこれ忙しいだろうな―――あまり遠くへも行けないことを入れると、大体の想像はつく」
つかねぇよ。
汗を拭いながら、レオドーラはそうもらした。
マノはレオドーラよりも多くのことを知っているが、全てはっきりと教えてくれるはずがない。だが、教えないわけではないらしい。
レオドーラ自身も何だかこう、いちいち聞くのもなという、よくわからない意地のようなものがあった。意地はってどうする、と思うが……。
シエナのことならと思っているのに、自分よりも多く物事を知り、しかも―――"愛"を感じるそれがゼノンを思い出させてよけい子どもじみたものを抱かせている。
ああ、全く。
「惨劇のあった地はどうなる」
「ジャナヤみたいになるだろ。清められて、場合によっては立ち入り禁止になる」
「ああ、そうだ」
「というか回りくどいぞ。はっきり言えよ」
「――――準備をしたら、連中に襲撃をかける」
「……は?」
間抜けな声が出た。
いや、マノの口ぶりから場所はわかっているようであったのは、わかる。しかしながら「ちょ、おい待てよ」焦る。
襲撃……?
今、襲撃っていわなかったか。
「話が飛びすぎだっつーの。ちゃんと説明しろ」
「結論から言えといったのはレオドーラだが」
「……」
「ちゃんと説明するから、焦るな。ハゲるぞ?」
「だぁぁ!いつまでハゲハゲ言うんだハゲ!お前だってさらさらじゃねーか!」
「私は大丈夫だ」
「どっからそんな自信が出てくるんだよ…」
二人があれこれ言っている中、世話になっている老人に呼ばれ、二人揃って向かう。
ああ、シエナ。
腐れ縁だろうがなんだろうが、俺は諦めねぇし、助けるから、待ってろ。
助けたら、また「 馬鹿レオドーラ」とかいって、笑ってくれよ。
未だハゲ云々いいながら、レオドーラはそう無事を願う。