とある神官の話
フォルネウス―――現教皇エドゥアール二世に報告し、アーレンス・ロッシュが話したことを確かめた。
それは良い。問題は、あの地へ行くことができるかどうかだ。
「どうなったんだ?」
「許可は出たが…ジャナヤの件もある。最初から大人数の派遣は出来ないと」
「だろうな。ジャナヤの時みたいになるってことか」
「まあ、そこにいるとは限りませんし。それでもエムな先輩は行くでしょうけど」
「エム?一体何の……わ、わかった。何も言わないから睨むなゼノン」
話が見えないキースは慌てて口を閉ざす。
ついでにエリオンにも睨めばしれっとした顔をしていた。この野郎。
「……暑いですね。凍りつかせて差し上げましょうか。涼しくなりますよ」
「やめなさい。野郎を凍りつかせてもつまりませんよ」
野郎じゃなかったらいいのか。
ハイネンのそれに仕方なくやめると、「どっから突っ込めばいいんだよ…」とランジットが頭を抱えていた。ちなみにキースは胃が痛むのか腹を軽くさすっていた。
いろいろとあるのだ。
まあ、それはいいとして。
許可が出たなら、行くことが出来る。しかし行くことが出来るとして、何があるのか、または何も無いかも知れない―――どちらにせよ、確かめる。行動することが出来る。
「それで、先ほどの電話ですが」
新たにあったそれの、ハイネンが電話を受けてからの内容を聞いて「どういう…」ともらした。
ハイネンが男から聞いたこと。それは――――。
「何か根拠でもあるんでしょうか」
男は、ハイネンにとおる場所のことを伝えた。その場に"彼女"がいる可能性が高いといったそうだ。
しかも三日後、襲撃をかけると。
エリオンの冷静な言葉をよそに、ハイネンはわかりませんと首をふった。
「ただ、色々と知っているのは確かです。でなければあんなことをいうはずがない」
「しかし一体何者なんだ?敵にしてはあっさり情報を漏らしているし、レオドーラのこともある」
「……どうするか、ですね」
男が襲撃をかけると言った場所は、そう。
今私らが足を踏み入れようとしている場所と同じであった。
* * *
受話器が下ろされる音を聞いた。
それは話が終わったことを表していて、話を聞いていたレオドーラは突っ伏したくなった。
こいつ、本当に……。
受話器を下ろし、電話をしていた本人がこちらに振り返り「どうした」とさらりというものだから、レオドーラは今度は机に突っ伏した。
どうした、じゃねーよ。
――――準備をしたら、連中のもとへ襲撃をかける。
そんな言葉を電話で話していたが、レオドーラ自身、その話は電話することになる少し前に聞いたばかりであった。なのでまだ、頭の中がごちゃついている。
マノはシエナの居場所について大体の予想はつく、などといっていたが、レオドーラにはさっぱり検討がつかなかった。
連中だって馬鹿じゃない。きっとうまいこと隠れ家やらにいるんだろう、くらいである。検討がつかないからこそ、焦っているのだ。それは聖都にいるあの恋敵だって同じだろう。
そんな中で奪還するとか云々いわれたら、爆発したくなるだろうなと思った。
――――マノが話してきたのは"あの地"のことだった。