とある神官の話







 事件に巻き込まれたために、休みを貰える――――わけもなく。



 休み休みといっても、救出された日のみで、次の日には宮殿に出てきていた。体がまだ痛い。そんなことにお構いなしに事情説明し、漸くロマノフ局長の元へ行ったら「顔が死んでいるぞ」と言われた。


 そりゃそうでしょうよ。






「あの?」

「……」





 同じ神官服姿の女性達の視線。視線だけではなく、実際前に立ちはだかり、今のようにじろじろ見られてはたまったものじゃない。

 今度は三人。ああ金魚の……とか、先頭にいる女性の不躾な視線に困りながら、私は溜息をつきたくなった。





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