とある神官の話







 私の質問に、珍しくランジットが諦めたような顔をした。



 嫌な予感がする。嫌な予感。髪の毛をがしがしとかいた後、ランジットは躊躇いながら口を開く。






「ブランシェ枢機卿に会いに行くんだ」






 名前を聞いた私は、うっかり「私悪いことしてませんよ!?え、え、どうして!?」と声を出した。


 泣きそうになる私に、「とりあえず行くぞ」と同じく全て諦めた顔をしているランジットが言う。
 引きずられるように私はランジットと共に宮殿へと入っていく。






< 75 / 796 >

この作品をシェア

pagetop