とある神官の話
ゼノン・エルドレイスが有名となる前、同じように有名人の仲間入りした人物がいる。
ゼノン同様に若い年齢で高位神官となり、そして大出世。かなり若い枢機卿となった。ほかの枢機卿に比べて断トツに若い枢機卿である。そして――――美形である。女より美人に見えるからこう、女としては複雑すぎる。
見ればいい。
「つまり二人で行ってきてくれ、ということだろ?」
「ああ。フィンデル神官とあいつの組み合わせだと、あいつが喜ぶ」
「……」
長い黒髪を結い、垂らす。正装姿はついさっき、教皇に会ったからだとかなんとか。
もはや綺麗だとかいう簡単な感想しか言えない。