とある神官の話






 本当にすまない、というブランシェ枢機卿は多分、噂は耳にしているのだろう。初めてランジットと会った時と同じく顔をしている。


 ついにそちらのほうでも!
 悲鳴をあげたくなった。






「これなんだが」






 手を止めたブランシェ枢機卿は、一枚の紙を私とランジットに見せる。そこには聖都から離れた小さな町の名が書かれていた。

 横でランジットが凄い顔をしていたことに、私は気がつかなかった。







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