とある神官の話







「で」





 ブエナのもとに顔を見せに来たら、何故か見慣れた顔がいた。略式の神官服姿で「どうして貴方が」


 太陽の光を浴び、その銀髪が光を反射する。整ったその顔が宮殿に並ぶ彫刻のように見えてならない。

 ストーカー予備軍。もといゼノン・エルドレイスであった。






「偶然ですよ」

「何を馬鹿な」






 聖都を離れるからとブエナに言いに来たら、余計な男に出会ってしまった。

 どうりで出迎えたブエナがにやついていた訳か。私は子供たちが賑やかな声をあげて遊ぶのを耳にしながら、向かいに座るゼノンを見遣る。





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