とある神官の話
吐いた息が白い。
昼間はともかく、夜になるとぐっと冷える。冬が近い。日が落ち、人影がぐっと減るのは普通だ。
夕方ならば足早に帰宅を急ぐ者の影が見えるのだが今は―――静かだった。昼間の賑やかさは消えている。
「太陽に呪われし者、か」
一人。屋根の上に佇むのは男。吐息は微かに白く、規則的に流れては消える。
静まり返った小さな町を眺めながら、男は溜息。些か面倒になってしまった。男は町にちらつく、自分以外の影の存在を眺めながら思った。いつになく孤独を感じて男は、柄にもなく友人という名の者達を思い出す。
会おうと思えば簡単に会える。だが―――面倒事に巻き込まれているのだから、会うならばそれを片付けてからにしよう。男の目には光が戻った。