この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 それから兄さまは、毎日 日新館へと出かけてゆく。


 学業は 午前中まで。そのあとは『什』のお仲間達とご一緒にどこかへ出かけて行ってしまう。


 私は毎日 家に居て、母さまからお裁縫や掃除の仕方、手習いを教えてもらう日々。


 この足を人に見られるのが嫌で、私は手習い所に通わず、母さまからすべてを教わっていた。


 もちろんそれが つまらない訳じゃない。けれど。

 どんどん、どんどん。兄さまとの距離が遠のいてゆく。



 ………さみしい。



 どうして私の足は、こんななのかしら?

 どうして私は、男子に生まれてこなかったのかしら?



 男子ならば、健康な足ならば。



 どこへ行くにも 兄さまについて行けたのに……。





 ―――林の家に来たばかりの頃が、懐かしい。





 あの頃はまだ兄さまも、私の面倒をよく見て下さった。

 私とよく 遊んで下さった。



 でも今は、日新館で、外で。

 お仲間の皆さま達と、学問や武道を競い合うのが楽しくて仕方がない様子。

 私の入る余地など、どこにもない。



 さみしい。


 取り残されたようで、さみしい………。




 
< 12 / 466 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop