この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 えっ!と 私は驚く。



 「―――兄さま!兄さまはやっぱり、まつのことを……!?」



 ひどくびっくりした私は、思わず四つん這いになって兄さまに詰め寄る。



 「さあ?どうかな」



 兄さまは私を見て、からかうように含んだ笑みを見せるだけ。



 「もう!ちゃんと答えてください!」



 ふくれっつらでポカポカ叩いてしまう私の拳を、兄さまは笑って受け止めた。

 そんな私達のあいだを、また風が通り抜けてゆく。





 ――――私達は。



 当たり前のように、大人になると思っていた。


 大人になれることを 信じて疑わなかった。




 この時の 私達は。





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